従来、公益、つまり世の中の不特定多数のもののための利益は、行政が担う分野と認識されてきました。しかし行政の原則は平等、公平です。要するにみんな同じに扱われなければなりません。ところが、現代は人々の価値観は多様化し、社会問題も多種多様となっています。こうなると、平等、公平の原則に配慮し、法令に基づいて動かなければならない行政では、迅速で、きめ細かな対応が難しい場面が出てきます。例えば、災害など緊急を要する事態、時代の先を見据えた先進的な試み、規模は小さいけれども見逃せない社会問題などです。
一方、行政に比べて小回りがきき機動性に勝る民間非営利団体は、個別の活動だけを見れば範囲は限られているかもしれませんが、全体としてみれば、行政での対応が難しい分野をカバーしつつ、行政とともに公益を担っていく可能性を持っていると言えます。
今までは、社会は行政と企業によって支えられていると考えられてきました。つまり、行政は公益の分野を、企業は利益追求の分野を担っていたわけです。しかし民間非営利部門がこの二つの勢力と並ぶ第三の勢力として成長し、行政と並んで公益を担う力を持つようになれば、市民主体の社会の実現に大きく役立つでしょう。この第三勢力の担い手として、NPOに期待が集まっているわけです。
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